前立腺炎
① 急性前立腺炎と慢性前立腺炎の違いは?診断は?
前立腺とは、膀胱と尿道に間にある男性にのみある臓器です。精液の一部などを作る働きをしています。
前立腺炎とは、その前立腺に炎症がおこるものですが、大きく分けて急性と慢性の前立腺炎があります。(海外では米国国立衛生研究所(National Institute of Health: NIH)による前立腺炎の分類があります。(JAMA 282:236-237, 1999.))
1.急性前立腺炎
急性前立腺炎は、細菌による感染が急激に起こり、発熱や排尿障害などの症状がでる病気です。
発熱も38度以上の高熱が多く、悪寒などを伴います。
前立腺は内部に尿道が走行しているため、前立腺炎を起こすと尿が出にくくなったり、場合によって尿閉(尿がでなくなること)となったりすることもあります。
2. 慢性前立腺炎
慢性前立腺炎は、前立腺部分、会陰部に違和感などの症状を伴う状態で、細菌性と非細菌性のものがあると考えられています。
検査は、急性と慢性で少し異なります。
1)尿検査
- 急性では、尿に血尿や白血球がないか確認します。
- 慢性前立腺炎では、直腸診を施行後に尿をとりそこに白血球がないか確認することもあります。
2)採血検査
急性では発熱を伴うため施行することが多いです。
3)尿培養検査/クラミジアなどの検査
細菌やクラミジアなども原因となることがあります。
4)エコー・CTなどの画像検査
急性では、発熱の鑑別として検査を行うことが多いです。
また、慢性でも尿路に異常がないかエコー検査を行うことが多いです。
5)その他
適宜必要に応じて検査を行い、診断します。
② それぞれの治療は?
急性前立腺炎の治療
- 急性前立腺炎では、原因菌にあわせて抗生剤の投与を行います。
- 尿が出ない場合は、導尿やカテーテル留置を行います。尿道カテーテルが前立腺の刺激となり感染を悪化させる場合は、膀胱ろうといって、恥骨の上から膀胱にカテーテルを挿入、留置することがあります。
慢性前立腺炎の治療
- 細菌性の慢性前立腺炎では抗生剤の投与を行います。
- 非細菌性の場合は、無症候性のものは、治療は不要と考えられています。症状がある場合、抗炎症剤などの薬剤を投与することもあります。一部は難治性の場合があります。日中、座位が多い患者さんなどは、症状が継続する場合があります。対症療法を行う場合があります。